森のこーひーたより~生産者の顔と声~ 森のコーヒー生産者のコーヒー農園へ訪問した時の現地の様子やコーヒーへのこだわり、パートナーの皆さんの暮らしをレポートします。

こーひーたよりvol.209

「サンタ・テレジーニャ農園」オーナー、”パウリーニョ”こと、パウロ・セルジオ・アルメイダさんは、ブラジルでは知らぬ人はいない篤農家です。それは、「サンタ・テレジーニャ農園」の収穫の仕方にも表れています。通常ブラジルでは、「デヒサール」(ポルトガル語で、”しごき落とす”という意味)という言葉を使って、収穫の仕方を表現しています。
その言葉通り、片手で枝の先端を持ち、もう一方の手で、枝の幹側の部分からすべてのコーヒーの果実を、枝を握った手でしごき落とします。

ところが、「サンタ・テレジーニャ農園」では、まるでコロンビアや、他の中米の国のように、収穫労働者が、籠を腰にぶら下げて、一粒一粒、完熟したコーヒーチェリー(果実)のみを収穫してゆきます。このやり方をパウリーニョさんは「カタール」と呼んでいます。
「カタール」は、スペイン語では”味見(カッピング)をする”という意味になりますが、ポルトガル語では、一粒一粒、完熟チェリーのみを収穫するやり方を表す表現になるのです。

通常、ブラジル人の収穫労働者は、一粒一粒、完熟チェリーのみを収穫するようなやり方を嫌います。「なぜ嫌うのか?」と質問すると、「昔からのやり方(しごき落とすやり方)に慣れているからだ。」と答えます。そのブラジルで、一粒一粒、完熟豆のみを収穫するやり方を貫き通している「サンタ・テレジーニャ農園」のパウリーニョさんは、すごいと思います。

こーひーたよりvol.208

「森のコーヒー生産者グループ」の一人、Sr.Jose Nicacio Itagyba de Oliveira・通称イタジバさんの農園、オンダス ダ マンチケイラ農園は、あの高品質コーヒーが産出することで有名なカルモ・デ・ミナスにあります。この農園が始まったのは、なんと1850年、ブラジルの第二帝政時代でした。そして、現在のオーナー・イタジバさんが、この農園をオーガニック農園にしました。

化学肥料を使用しないため、オーガニックの堆肥を作り、コーヒー農園に撒いています。 堆肥の作り方にも、イタジバさんの独特のノウハウがあるそうです。農園の標高は1,100〜1,400mあり、16のプロットに分けられています。

イタジバさんが植えているコーヒーの品種は、イエローブルボン、イエローカテュアイ、ムンドノーボ、アカイなどです。農園には、25万本のコーヒーの木が植わっています。 収穫は手作業で行われ、中米のような selective picking (完熟の実のみ選んで手作業で収穫)を実施しています。

乾燥用のテラスは4つあり、そのうち、1つはコンクリートの床、2つが煉瓦作りの床、そして高品質コーヒー用のアフリカンヘッド(高床式乾燥棚)の乾燥場があります。

農園内には、従業員用の近代的な家が17あります。すべての家で、ちゃんとお湯のシャワーが出るようになっています。 また、全員が自分用の有機菜園を持っていて、さらに鶏も飼えるようになっています。従業員と話してみると、皆祖父の時代からこの土地に暮らしている人達で、自分達の故郷を愛していることがわかります。

こーひーたよりvol.207

「森のコーヒー生産者グループ」の中でも、ブラジル有機栽培コーヒーの「鉄人」と呼べる生産者がリカルド・アギアールさんです。

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーの大部分の生産者は、”堆肥”を作っています。堆肥は、英語でcompost(コンポスト)、ポルトガル語でcompostagem(コンポスタージェン)です。

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーは、コーヒーの落ち葉、コーヒー豆から脱穀した乾いた果肉の残り、牛や豚を飼っている場合はその糞尿などを混ぜ合わせています。それを微生物の力で好気的に分解したものを”堆肥”といいます。(好気的というのは、酸素を使って微生物が有機物を分解することです。)

堆肥を使うと、土の中の有機物が増えて、土壌の団粒化がすすんで、土が軟からかくなります。農薬、化学肥料を使用したコーヒー農園で、地面がカッチン、カッチンに固いのを良く見かけますが、それとはまったく違うフッカフカの土になります。また、堆肥には、窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの多量要素だけでなく、鉄、亜鉛、銅、マンガンなどの微量要素も含んでおり、コーヒーの木に対する、より総合的な養分の供給になります。

土の中には、1グラム中に約1億の微生物がいるといわれていますが、養分の少ない土壌中ではその活動を停止しています。ところが、堆肥のようなエサになる物質がはいってくると、そこから栄養をとり急激に増殖します。こうして、土の中に多様な微生物が増え、土壌が改善されます。

そして、これも私たちにとっては大変重要なのですが、堆肥を使って作ったコーヒーは、化学肥料を使って作ったコーヒーよりも、はるかにおいしいことも特長です。

こーひーたよりvol.206

「森のコーヒー生産者グループ」の中でも、ブラジル有機栽培コーヒーの「鉄人」と呼べる生産者がリカルド・アギアールさんです。

リカルドさんは「森のコーヒー生産者グループ」の中でもズバ抜けた有機農業の理論家です。ブラジルの農業大学の中で一番の名門校・「ラプラス大学」でコーヒー栽培を専門に勉強し、さらに大学院にまで行って、コーヒーの研究に明け暮れました。

現在リカルドさんは、人生のすべてを有機・無農薬栽培コーヒーにかけています。朝は、5時から農園に行き、まさに”人間ブルドーザー”という渾名がふさわしい働きかたです。

リカルドさんが、私に何度も語るのが、有機・無農薬コーヒーの栽培は、常に先を見て手を打ってゆかなければならないということです。それも、1年というスパンではなく、3年先のために、ということをよく言います。

本日農園に撒いている有機肥料は、今期の収穫のためにやっているのではなく、3年先の収穫のためにやっているのだ、と説明します。有機肥料は、化学肥料のような即効性はありません。それが、彼の「3年後のために、今、有機の施肥をしているのだ。」という表現になるのだと思います。

また、作り方が有機・無農薬栽培であれば良いということではなく、コーヒーの品質面(おいしさ)についても、リカルドさんは、常に良くしようと研究を怠りません。

リカルドさんと夕方、一緒に農園に行って、日没を見ました。

こーひーたよりvol.205

「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんの農園を訪問した時には、かならずジョン・ネットさん、農園のスタッフと一緒に、その年に採れたコーヒーをカッピング(コーヒーの味見)します。

それは、私もジョン・ネットさんも農園のスタッフも、コーヒーにとって品質(味の良し悪し)が極めて重要だと思っているからなのです。

もちろん農薬不使用、化学肥料不使用などの安心、安全、サステナブルなコーヒーの作り方も、とても重要です。ですが、やはり人はおいしいコーヒーを飲みたいもの。おいしいコーヒーを飲むと、自然に笑顔がこぼれてしまうくらいです。

カッピングには、毎年、農園の管理責任者のOrlando Araujo da Silva Filho 氏(いつもはオルランドさんと呼んでいます。)、ジョン・ネットさんの長男のジョアンジーニョ、嫁のエレンさんが参加します。この年は、次女のマルことマリア・ルイーザは、エデゥアルドが生まれた為、彼の世話があり参加できませんでした。

自分の作っているコーヒーが、どのような味の特徴があって、どのように評価されているか、を知ることはとても重要です。

そのために毎年私が、ほかの「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーのコーヒー、そのほかのブラジルのスペシャルティコーヒーのサンプルを持参して、「サント・アントニオ農園」のコーヒーの横に並べて比較してもらいます。そのような方法で、自分のコーヒーの風味特徴、品質のレベルというものをわかってもらうのです。

こーひーたよりvol.204

「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんは、コーヒー農園に、コーヒー以外のいろいろな木を植えて、農園を”森”のようにしました。

ジョン・ネットさんは、馬、豚、と多種多様な動物を農園に入れています。 植物もそうですが、ジョン・ネットさんは、動物でも”多種多様”が好きです。いろいろな動物がいた方が良い。そのほうが、より”大自然”に近い。より多くのVIDA(ヴィーダ 生命)を農園に入れたい。農薬に代表されるMORTE(モルチ 死)よりVIDAを追求する。

土の中の微生物にも、ジョン・ネットさんは注目しています。農薬を一切使用しないことで、地中に多種多様な微生物が棲息するようになります。もちろん目には見えないのですが、ジョン・ネットさんは、それこそ文字通り這いつくばって農園の土を、その中にいる地中微生物を感じようとしています。

そうやって、毎日、農園の土に触れたり、においを嗅いだりしていると、土の健康状態がわかるようになるんだそうです。健康な土に生えている珈琲の木も、また、健康になるとジョン・ネットさんは言います。

こーひーたよりvol.202

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーは皆、化学肥料不使用で、農薬を一切使用せずにコーヒーを作っているので、農場内の生物多様性はとても豊かです。

グループの中でも、ジョン・ネットさんの「サント・アントニオ農園」の生物多様性は、別格です。

ジョンさんは、私によく言うのですが、

「うちの農園では、たくさんの社員を雇っている。そこの蟻もウチの社員だし、そこのミツバチもウチの社員だ。やぎの社員もいるし、牛、馬もいる。それから豚もいる。みんな働き者だから、私は楽でいい。」

つまり、コーヒーの栽培は、人間だけがやるのではなく、農園内の自然を総動員してやるものだと言うのです。

人間と自然を対立的にみて、どうやったら効率的に自然をコントロールして農業ができるか、と考えるのが、現代の近代農法です。

ジョン・ネットさんは、人間も自然の一部なので、どうやったら自然といっしょになって、自然と協力して農業ができるか、という風に考えています。

こーひーたよりvol.201

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーの一人、エンリケ・スローパーさんは、有機栽培の中でも、一風変わった“バイオダイナミック農法”という農法でコーヒーを栽培しています。

“バイオダイナミック農法”は、ドイツで神智主義のルドルフ・シュタイナーが提唱した農法で、農薬と化学肥料を使用しないのは勿論のこと、土壌と植物、動物の相互作用だけでなく、天体の動きにも着目した農業を行います。

エンリケさんは言います。
「バイオダイナミックというのは、オーガニック以上のものなんだ。まず、オーガニック農法をやっていなければ、バイオダイナミック農法はできない。オーガニック農法をやった上で、バイオダイナミック農法を実施することで、コーヒーの木の健康状態はより良くなるし、コーヒーの品質も良くなる。簡単に言うと、農業を自然のサイクルに合わせるということなんだ。バイオダイナミックの農業歴には、月、星、十二宮図の状態が記載されていて、それに合わせて農業をやるのさ。」

今年から、バイオダイナミック農法の農学者・ロベルタ トレーズマンさんが農園の運営チームに入りました。彼女は、ブラジルのバイオダイナミックの本部で研修した本格派です。ロベルタが農園のメンバーを集めて、バイオダイナミック農法の基本的な考え方の講義をしてくれました。皆、真剣な顔で聞いていましたが、私は半信半疑で聞いていました。

こーひーたよりvol.200

「森のコーヒー生産者グループ」の一人、イタジバさんの農園・オンダス ダ マンチケイラ農園は、あの高品質コーヒーが産出することで有名なカルモ・デ・ミナスにあります。この農園が始まったのは、なんと1850年。ブラジルの第二帝政時代でした。現在のオーナー・イタジバさんが、この農園をオーガニック農園にしました。

化学肥料を使用しないため、オーガニックの堆肥を作り、コーヒー農園に撒いています。堆肥の作り方にも、イタジバさんの独特のノウハウがあるそうです。農園の標高は1,100~1,400mあり、16のプロットに分けられています。

イタジバさんが植えているコーヒーの品種は、イエローブルボン、イエローカテュアイ、ムンドノーボ、アカイなどです。農園には、25万本のコーヒーの木が植わっています。収穫は手作業で行われ、中米のようなselective picking(完熟の実のみ選んで手作業で収穫)を実施しています。

乾燥用のテラスは4つあり、そのうち、1つはコンクリートの床、2つが煉瓦作りの床、そして高品質コーヒー用のアフリカンベッド(高床式乾燥棚)の乾燥場があります。

農園内には、従業員用の近代的な家が17あります。すべての家で、ちゃんとお湯のシャワーが出るようになっています。また、全員が自分用の有機菜園を持っていて、さらに鶏も飼えるようになっています。

イタジバさんが、これからどんな品質のコーヒーを作ってくれるのか、楽しみです。

こーひーたよりvol.199

「今アメリカで、ものすごく流行っているのが”コールドブリュー”です。日本語で言うと、「水出しコーヒー」。この”コールドブリュー”に窒素を入れた”Nitro Cold Brew”というメニューがアメリカでは大流行なのです。

この夏、カフェーパウリスタ銀座店でも新メニューとして、この”Nitro Cold Brew”を「ドラフトコーヒー」という名前で発売しており、沢山のご注文を頂いております。

「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんの農園を訪問した時に、ジョン・ネットさんの長男のジョアンジーニョが、私のために「森のコーヒー」のコールドブリューを作ってくれました。彼はブラジルのフォルクスワーゲン社に勤めていて、工業デザインが専門で、新し物好きな男です。

彼の作る「森のコーヒー」コールドブリューの作り方は、
 ①-まず、「森のコーヒー」の粉をジャグに入れ、その上から水を注ぎ、
 水出しの「森のコーヒー」をつくる。
 ②-水出しの「森のコーヒー」の入ったジャグを、冷暗所の棚に入れて一晩置く。
 ③-翌日、ジャグを棚から出し、ネルを使用して、コーヒーの液体だけを濾す。
 ④-濾されたコーヒーの液体をグラスに入れ、氷とトニックウォーターをいれて出来上がり。

ジョアンジーニョが作ってくれた「森のコーヒー」コールドブリューを飲んでみると、とても爽やかで、暑い夏の日にはぴったりのドリンクでした。

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