森のこーひーたより~生産者の顔と声~ 森のコーヒー生産者のコーヒー農園へ訪問した時の現地の様子やコーヒーへのこだわり、パートナーの皆さんの暮らしをレポートします。

こーひーたよりvol.223

「森のコーヒー生産者グループ」の中でも、ブラジル有機栽培コーヒーの「鉄人」と呼べる生産者がリカルド・アギアールさんです。

現在リカルドさんは、人生のすべてを有機・無農薬栽培コーヒーにかけています。朝は、5時から農園に行き、まさに“人間ブルドーザー”という渾名がふさわしい働きかたです。

リカルドさんのすごいところは、農園経営がダイナミックで、スピードのあるところです。 ブラジルは、なんといっても国土が日本の約22.5倍、めちゃくちゃ広いので、農業もダイナミックです。また、国民性も、ブラジル人は、日本人と比べると、ダイナミックなものに向いているようです。逆にブラジルにいる日系人農家は、ブラジル人が不得意とする“花”の栽培など、細かい気遣いの必要なものをやっています。

そのリカルドさんのダイナミックさを垣間見たのが、コーヒーの乾燥場です。実は、2年前、ちょうど収穫期に、リカルドさんの農園がある地域に、非常に強い雨が降り、乾燥場にあったリカルドさんのコーヒーの一部が雨に当たり、被害を受けました。(ゲリラ豪雨は、日本だけではありません。異常気象は、全世界的な現象で、ブラジルでも起こっています。)

その時の反省を踏まえてリカルドさんが作ったのが、巨大なコーヒー乾燥のためのビニールハウスです。被害があった年の翌年には完成していました。この常に改善をしてゆくスピード感と、そのスケールの大きさがリカルドさんのすごいところです。


こーひーたよりvol.222

「森のコーヒー生産者グループ」の一人、クラウディオ・カルネイロさんの農園「ファゼンダ パイシャウン」は、あのスペシャルティコーヒーの産地として有名なカルモ・デ・ミナスにあります。クラウディオさんは、2010年の国際コーヒー品質審査会(カップ・オブ・エクセレンス)のブラジル部門で、93.91点の高得点を獲得して、第一位の栄冠に輝いた篤農家です。

クラウディオさんは、根っからのオーガニック(有機)コーヒーの生産者です。クラウディオさんのお母さんが、農薬を使用しない有機栽培の食品にこだわっていて、その強い影響で、クラウディオさんも無農薬・有機栽培コーヒーを作るようになったと語ってくれました。

「クラウディオさんのコーヒー」は、ブラジルスペシャルティコーヒーのメッカと呼ばれているカルモ・デ・ミナスのコーヒーの中でも独特です。まず、オーガニック農法で作られ、味も、ほかのカルモ・デ・ミナスのコーヒーと香味、風味がまったく違います。まさに、クラウディオさんにしか作れない味があります。それは、レーズン、チョコレートを想わせる風味、そして、バニラ、スパイスも感じる、今まで体験したことのないような独特な香味です。液体は、シルキーで滑らか。後味の余韻も甘さで消えてゆきます。

今月限定で、カフェーパウリスタ創業100周年記念セレクションとして「クラウディオさんのコーヒー」を販売いたしますので、ぜひこの機会をお見逃しなく。この独特の味をお確かめください。


こーひーたよりvol.221

「森のコーヒー生産者グループ」の一人、Sr.Jose Nicacio Itagyba de Oliveira・通称イタジバさんの農園『オンダス・ダ・マンチケイラ農園』は、あの高品質コーヒーが産出することで有名なカルモ・デ・ミナス地区にあります。この農園が始まったのは、なんと1850年、ブラジルの第二帝政時代でした。そして、現在のオーナー・イタジバさんが、この農園をオーガニック農園にしました。

化学肥料を使用しないため、オーガニックの堆肥を作り、コーヒー農園に撒いています。堆肥の作り方にも、イタジバさんの独特のノウハウがあるそうです。農園の標高は1,100~1,400mあり、16のプロットに分けられています。

イタジバさんが植えているコーヒーの品種は、イエローブルボン、イエローカテュアイ、ムンドノーボ、アカイなどです。農園には、25万本のコーヒーの木が植わっています。収穫は手作業で行われ、中米のようなselective picking(完熟の実のみ選んで手作業で収穫)を実施しています。

乾燥用のテラスは4つあり、そのうち、1つはコンクリートの床、2つが煉瓦造りの床、そして高品質コーヒー用のアフリカンベッド(高床式乾燥棚)の乾燥場があります。

農園内には、従業員用の近代的な家が17あります。すべての家で、ちゃんとお湯のシャワーが出るようになっています。また、全員が自分用の有機菜園を持っていて、さらに鶏も飼えるようになっています。従業員と話してみると、皆祖父の時代からこの土地に暮らしている人達で、自分達の故郷を愛していることがわかります。

イタジバさんは、言います。
「若いやつらは、皆、都会に行きたがるけれど、ウチの農園で働いた若者は皆わかるんだ。ここで働くほうが、ずっと人間らしい、良い生活が送れることを。」


こーひーたよりvol.220

2018年5月12日の早朝に「サンタ・テレジーニャ農園」のオーナーであり、「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーでもあった、パウリーニョこと、パウロ・セルジオ・アルメイダ氏がお亡くなりになりました。私は、日本にいて、葬儀には参加できませんでしたが、ブラジルの輸出業者にお願いして、私の名前で花だけは出させていただきました。

その後の話は、今月の「珈琲道一直線」に書いたとおりです。「サンタ・テレジーニャ農園」は、長男のアンドレではなく、次男のファブリッシオが継ぐことになりました。パウリーニョの奥様(つまりファブリッシオのお母様)が、ファブリッシオを連れて私に会いに来たところを見ると、この農園の相続問題は、家庭内では完全に話がついたのでしょう。

ファブリッシオとは初対面でしたが、魅力的な若者です。もともと、地ビールの事業を一人で立ち上げ、成功させているのですから、手腕はあると思います。オーガニックコーヒーについても、これから学んでゆきたいと、意欲満々でした。

「サンタ・テレジーニャ農園」には、パウリーニョの時代から、もう何十年もパウリーニョと共にオーガニックコーヒーを作ってきた、農園スタッフがいますので、コーヒーの品質的には全く問題がないと思います。実際にカップ(味見)をしてみても、パウリーニョが亡くなる前と比べて、全く遜色のないコーヒーが出来ていました。

私が楽しみなのは、これから、ファブリッシオの時代になって「サンタ・テレジーニャ農園」がどう変わってゆくかです。農園自体のポテンシャルは、すごいものがあると思います。永年にわたるパウリーニョの土作り。これは、一朝一夕でできるものではなく、他の農園の追従を許しません。また、スタッフもベテラン揃いで、技術は高いです。ここに、ファブリッシオの若いアイディアが加わって、どんなオーガニックコーヒーが出来てくるか?今から楽しみです。


こーひーたよりvol.219

2018年の7月に「森のコーヒー生産者グループ」のメンバー、ジョン・ネットさんの「サント・アントニオ農園」を訪問した時に、びっくりするようなニュースがありました。それは、ジョン・ネットさんの次女のマルさん(マリア・ルイーズさん)にお子さんが誕生したというのです。男の子で、エドワルドという名前を付けました。

ジョン・ネットさんにとっては、初孫です。ジョンさんには、長男のジョアンジーニョさん、長女のフェルナンダさんがいますが、孫は生まれていませんでした。それが、末っ子のマルさんが一番先に孫を産んだのでした。ジョン・ネットさんも、嬉しそうでした。

それが、1年たって「サント・アントニオ農園」を再訪してみると、エドワルドは、本当にもう、大きくなっていました。

マルさんは、「サント・アントニオ農園」内にご自分の家を作って住んでいます。根っからのナチュラリストで、家の前に菜園を作って、有機野菜を作っています。フロリアノーポリスの大学で海洋学を専攻し、その後も、世界中の有機栽培の農園にご自分で研修に行くなど、数々の経験を積んできました。現在は、ジョン・ネットさんを手伝って農園の仕事をしています。「サント・アントニオ農園」の後継者はマルさんだろう、というのが衆目の一致するところです。

そのマルさんに、後継ぎができました。息子のエドワルドは、すくすくと育っています。


こーひーたよりvol.218

「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんの農法は、農薬は一切使用しませんし、肥料もやりません。

「それで、よくコーヒーが収穫できますね。常識では考えられません。」とジョンさんに訊いたことがあります。

ジョンさんの答えは、

「森の力(ちから)を使うからさ。」

というものでした。

コーヒー発祥の地・エチオピアでは、コーヒーは、森の中に生えています。コーヒーは、日光を好む植物にもかかわらず、日当たりが強すぎると元気がなくなってしまいます。森の中で生きることによって、他の背の高い木が、コーヒーのために日陰を作ってくれるのです。

コーヒー農園の中に、いろいろな木や、動物や、昆虫、微生物が共生し、生き物の"森"を作ることにより、自然の生物ピラミッドができ、病害虫にも天敵ができることによって、特定の病害虫が、爆発的に発生することがなくなるのです。


こーひーたよりvol.217

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーは皆、化学肥料不使用で、農薬を一切使用せずにコーヒーを作っているので、農園内の生物多様性はとても豊かです。

グループの中でも、ジョン・ネットさんの「サント・アントニオ農園」の生物多様性は、別格です。

ジョンさんは、私によく言うのですが、

「うちの農園では、たくさんの社員を雇っている。そこの蟻もウチの社員だし、そこのミツバチもウチの社員だ。やぎの社員もいるし、牛、馬もいる。それから豚もいる。みんな働き者だから、私は楽でいい。」

つまり、コーヒーの栽培は、人間だけがやるのではなく、農園内の自然を総動員してやるものだと言うのです。

人間と自然を対立的にみて、どうやったら効率的に自然をコントロールして農業ができるか、と考えるのが、現代の近代農法です。

ジョン・ネットさんは、人間も自然の一部なので、どうやったら自然といっしょになって、自然と協力して農業ができるか、という風に考えています。


こーひーたよりvol.216

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーの一人、エンリケ・スローパーさんは、有機栽培の中でも、“バイオダイナミック農法”という農法でコーヒーを栽培しています。“バイオダイナミック農法”は、ドイツで神智主義のルドルフ・シュタイナーが提唱した農法で、農薬と化学肥料を使用しないのは勿論のこと、土壌と植物、動物の相互作用だけでなく、天体の動きにも着目した農業を行います。

エンリケさんが、特にこだわりをもって栽培しているコーヒーの品種が“Bourbon Amarelo”(黄色いブルボン品種)です。“ブルボン”と呼ばれるコーヒー品種は、フランスの宣教師が、1700年代の初頭にイエメンから当時のブルボン島(現在のレウニオン島)に持ち込み、そこから現在のブルボンの名が付きました。19世紀の中頃までは、ブルボン品種のコーヒーが島から持ち出されることはなかったのですが、1800年代の初頭に、宣教師達が、アフリカとアメリカ大陸に渡ったと共に、持ち出されてゆきました。

ブラジルに、ブルボンが持ち込まれたのが1860年。そこから南アメリカ、中央アメリカにも紹介されてゆきました。

ブルボン品種の特徴は、その素晴らしいカップクオリティー(コーヒーが液体になったときの美味しさ)です。ただし、生産性は低く、病中害にも弱いという弱点があります。エンリケさんが、今でもブルボン品種にこだわって栽培を続けている理由は、なんと言ってもその美味しさです。他の生産者が、より高い生産性、病中害対策品種をどんどん植えているなか、あくまでもブルボンにこだわるエンリケさんの姿勢には、本当に頭が下がります。


こーひーたよりvol.215

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーの一人、エンリケ・スローパーさんは、有機栽培の中でも、“バイオダイナミック農法”という農法でコーヒーを栽培しています。“バイオダイナミック農法”は、ドイツで神智主義のルドルフ・シュタイナーが提唱した農法で、農薬と化学肥料を使用しないのは勿論のこと、土壌と植物、動物の相互作用だけでなく、天体の動きにも着目した農業を行います。

エンリケさんの農園・カモシン農園があるのは、ブラジルのエスピリト・サント州。すぐ近くに、世界的に有名な観光地・Pedra Azul(ぺドラ・アズル「青い岩」)公園があります。農園からもぺドラ・アズルの偉容は、常に見ることができます。

ぺドラ・アズル公園は、1991年につくられました。その目的は、国の自然財産を守ることです。特にぺドラ・アズルは、花崗岩でできており、一番高い部分で1,909メートルの高さがあります。

私が毎年、宿泊するホテルの窓からも、ぺドラ・アズルが見えます。

本年度は、エンリケに車で、ぺドラ・アズルの麓まで連れて行ってもらいました。麓から見上げるぺドラ・アズルの姿は、また感動的なものがありました。


こーひーたよりvol.214

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーの一人、エンリケ・スローパーさんは、有機栽培の中でも、“バイオダイナミック農法”という農法でコーヒーを栽培しています。“バイオダイナミック農法”は、ドイツで神智主義のルドルフ・シュタイナーが提唱した農法で、農薬と化学肥料を使用しないのは勿論のこと、土壌と植物、動物の相互作用だけでなく、天体の動きにも着目した農業を行います。

エンリケさんは、“バイオダイナミック農法”で、農薬不使用・化学肥料不使用の素晴らしい品質のコーヒーを作ることに成功しています。昨年は、ついにカップ・オブ・エクセレンスという世界的なコーヒーの品質コンテストで、ブラジル1位にエンリケさんのコーヒーが輝きました。

もともとエンリケさんが、“バイオダイナミック農法”に出会ったきっかけは、フランスで初めてビオディナミをワイン作りに取り入れた「ビオディナミの伝道師」と呼ばれるNicolas Joly(二コラ ジョリー)氏との出会いでした。ジョリー氏が、ブラジルを訪問した際に、彼はポルトガル語を全く話さないので、通訳を買って出たのがエンリケでした。(ちなみにエンリケは、フランス語がペラペラです。ユーチューブにエンリケがフランス語でインタビューを受け、ペラペラ話している動画がアップされています。)

二コラ ジョリー氏の“バイオダイナミック農法”理論にいたく感銘を受けたエンリケは、コーヒーを“バイオダイナミック農法”で作ろうと決心しました。ブラジルで、“バイオダイナミック農法”で、コーヒーを作っている生産者は、エンリケの他にいません。まさにブラジルのビオディナミコーヒーのパイオニアと言って良いと思います。

エンリケと再会した本年7月16日には、記念に彼が二コラ ジョリー氏の作ったワイン・「クレ・ド・セラン」を開けて、飲ませてくれました。感動的に美味しいワインでした。


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