森のこーひーたより~生産者の顔と声~ 森のコーヒー生産者のコーヒー農園へ訪問した時の現地の様子やコーヒーへのこだわり、パートナーの皆さんの暮らしをレポートします。

こーひーたよりvol.256

「森のコーヒー生産者グループ」の中でも、ブラジル有機栽培コーヒーの「鉄人」と呼べる生産者がリカルド・アギアールさんです。リカルドさんの農園「ノッサ・セニョーラ・デ・ファティマ」は、セラード地区のAlto Paranaiba,
Perdizes(ベルディゼス)という町の近くにあります。

リカルドさんに、ミナスジェライス州のポッソス・ジ・カルダスにある輸出業者のオフィスから電話をしました。

「明日、そちらに行きたいんだけど、いいかな?」
「いいけど、どうやって来るんだ?」
「タクシーで行くよ。」
「何言っているんだ。ポッソスからだと、5時間はかかるぞ。そんなことをしていたら、農園を見る時間が無くなるじゃないか。」
とお怒りのリカルドさん。
「じゃあ、どうしようか?」
「俺の自家用機を行かせるから、それに乗ってこい。」

というこで、翌日、ポッソスの近くの小さな飛行場に行くと、ちゃんとリカルドさんの自家用セスナが待っていてくれました。飛行機を操縦してくれるのは、長髪を後ろで束ねたお兄さんでした。そのお兄さんのお父さんと2人で、この飛行機の商売をやっているという話でした。パイロットのお兄さんが、飛行機の車庫?から、飛行機をお父さんに手伝ってもらって引っ張り出し、滑走路に置いて、出発となりました。


こーひーたよりvol.255

「森のコーヒー生産者グループ」の中でも、ブラジル有機栽培コーヒーの「鉄人」と呼べる生産者がリカルド・アギアールさんです。

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーの大部分の生産者は、“堆肥”を作っています。堆肥は、英語でcompost(コンポスト)、ポルトガル語でcompostagem(コンポスタージェン)です。「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーは、コーヒーの落ち葉、コーヒー豆から脱穀した乾いた果肉の残り、牛や豚を飼っている場合はその糞尿などを混ぜ合わせています。それを微生物の力で好気的に分解したものを“堆肥”といいます。(好気敵というのは、酸素を使って微生物が有機物を分解することです。)

堆肥を使うと、土の中の有機物が増えて、土壌の団粒化がすすんで、土が軟らかくなります。農薬、化学肥料を使用したコーヒー農園で、地面がカッチン、カッチンに固いのをよく見かけますが、それとはまったく違うフッカフカの土になります。また、堆肥には、窒素、リン、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの多量要素だけでなく、鉄、亜鉛、銅、マンガンなどの微量要素も含んでおり、コーヒーの木に対する、より総合的な養分の供給になります。

土の中には、1グラム中に約1億の微生物がいるといわれていますが、養分の少ない土壌中ではその活動を停止しています。ところが、堆肥のようなエサになる物質がはいってくると、そこから栄養をとり急激に増殖します。こうして、土の中に多様な微生物が増え、土壌が改善されます。そして、これも私たちにとっては大変重要なのですが、堆肥を使って作ったコーヒーは、化学肥料を使って作ったコーヒーよりも、はるかにおいしいことも特徴です。


こーひーたよりvol.254

「森のコーヒー生産者グループ」の一人、クラウディオ・カルネイロさんの農園「ファゼンダ バイシャウン」は、あのスペシャルティコーヒー(高品質コーヒー)の産地として有名なカルモ・デ・ミナスにあります。クラウディオさんは、2010年の国際コーヒー品質審査会(カップ・オブ・エクセレンス)のブラジル部門で、93.91点の高得点を獲得して、第一位の栄冠に輝いた篤農家です。

クラウディオさんは、根っからのオーガニック(有機)コーヒー生産者です。クラウディオさんのお母さんが、農薬を使用しない有機栽培の食品にこだわっていて、その強い影響で、クラウディオさんも無農薬・有機栽培コーヒーを作るようになったと語ってくれました。

「儂は根っからのオーガニック生産者じゃ。生き方からしてオーガニックじゃから、もしIBD(ブラジルのバイオダイナミック研究所)のような有機認定業者、儂のコーヒーを有機に認定しなくなっても、儂はオーガニックコーヒーを作り続けるよ。」(IBDが有機認定しなくなる可能性があるという意味ではなく、認定業者に関係なく、誰に認められなくても有機栽培コーヒーを作り続けるという意味。解説・長谷川)

生き方からしてオーガニックだと言うクラウディオさんは、お嬢さんが2人います。長女がイングリッドさん、次女がバネッサさんです。彼女たちも、自分で事業をしています。それは有機のジャムやデザートの製造販売です。ブラジルのお菓子の中で、一番人気のゴイアバーダ(赤いグァバを砂糖と共に煮込んだお菓子)をはじめとして、色々な有機野菜、有機果物のジャムを作っています。ファミリーで、有機に邁進するクラウディオさんなのです。


こーひーたよりvol.253

「森のコーヒー生産者グループ」の一人、クラウディオ・カルネイロさんの農園「ファゼンダ バイシャウン」は、あのスペシャルティコーヒー(高品質コーヒー)の産地として有名なカルモ・デ・ミナスになります。クラウディオさんは、2010年の国際コーヒー品質審査会(カップ・オブ・エクセレンス)のブラジル部門で、93.91点の高得点を獲得して、第一位の栄冠に輝いた篤農家です。

クラウディオさんの作るコーヒーは、ブラジルのスペシャルティコーヒー(高品質コーヒー)のメッカと呼ばれているカルモ・デ・ミナスのコーヒーの中でも独特です。まず、オーガニック農法で作られ、味も、ほかのカルモ・デ・ミナスのコーヒーと香味、風味が全く違います。まさに、クラウディオさんにしか作れない味があります。それは、レーズン、チョコレートを想わせる風味、そして、バニラ、スパイスも感じる、今まで体験したことのないような独特な香味です。液体はシルキーで滑らか。後味の余韻も甘さで消えてゆきます。

また、クラウディオさんは、根っからのオーガニック(有機)コーヒー生産者です。クラウディオさんのお母さんが、農薬を使用しない有機栽培の食品にこだわっていて、その強い影響で、クラウディオさんも無農薬・有機栽培コーヒーを作るようになったと語ってくれました。

また、クラウディオさんは、カルモコーヒーズ(カルモ・デ・ミナスのコーヒー輸出業者)の創業者の一人であるジャックス氏の親戚でもあります。ジャックスは、クラウディオさんのことをいつも「チオ(Tio)」(ポルトガル語でおじさんの意味)と呼んでいます。カルモ・デ・ミナスのような田舎の人間関係は濃密です。


こーひーたよりvol.252

「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんの農園「サント・アントニオ農園」を訪問した時に、ジョン・ネットさんから「ハセガワ、近くにカシャッサの工場があるんだが、見に行ってみないか?」と言われました。

カシャッサというのは、別名ピンガといって、サトウキビから作る蒸留酒です。アルコール度数が40度ぐらいあり、すごく強いお酒です。このカシャッサをブラジルでは、ストレートで飲んだり、「カイピリーニャ」にして飲みます。

この「カイピリーニャ」が、美味しいのですが、本当に危険な飲み物です。カシャッサにつぶしたライムと砂糖と氷を入れたカクテルです。カシャッサをストレートで飲もうとしても、そんなには飲めないのですが、この「カイピリーニャ」にすると、とても飲みやすくなるので、ついつい沢山飲んでしまいます。しかしベースが40度のカシャッサですから、酔っ払います。私も何度かひどい目にあいました。

ブラジルで、カシャッサは正に国民酒です。今では、大手メーカーが作っているカシャッサの他に、いわゆるスペシャルティーなカシャッサも出てきていて、今回、ジョン・ネットさんに連れて行ってもらったカシャッサの工場もスペシャルティーなカシャッサを作っているそうです。ヨーロッパの品質コンテストに入賞しているそうです。

帰りに3本ほど、この工場のカシャッサを買って帰りました。たしかに美味しいです。3種類あって、カシャッサ自体は同じなのですが、工場内にある期の樽の中で、何年寝かしたかによって、味が熟成して、よりおいしくなってゆくとのこと。価格も高くなっていくとのことでした。


こーひーたよりvol.251

「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんんには、3人のお子さんがいます。一男二女で、長男のジョアンジーニョさん、長女のフェルナンダさん、次女のマリア・ルイーズさん(通称マルさん)です。

3人の中で、一番サント・アントニオ農園の仕事に興味を持っているのが、次女のマルさんです。フロリアノーポリス(日本で言うと、熱海のような場所。きれいな海岸が有名です。)の大学で、海洋学を専攻されました。サーフィンが好きで、サーファーです。

また、オーガニックの農園が大好きで、世界の色々な場所のオーガニック農園で、ボランティアで働くようなプログラムに参加していました。アメリカやコスタリカなどのオーガニック農園で働いてきました。(無償で労働する代わりに、寝る場所と食事が提供されるというプログラムです。)私からすると、若い女性がよくそんな危険なことをと思っていましたが、本人は全く平気な様子でした。

マルさんは「サント・アントニオ農園」内にご自分の家をもって住んでいます。家の前に菜園を作って、有機野菜を作っています。有機野菜以外にもサーブなども作り、ハーブから精油を抽出しています。

マルさんはジョン・ネットさんの初孫にあたるエドワルドも出産し、「サント・アントニオ農園」の後継者はマルさんだろう、というのが衆目の一致するところです。


こーひーたよりvol.250

「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんは、コーヒー農園に、コーヒー以外のいろいろな木を植えて、農園を“森”のようにしました。

ジョン・ネットさんは、馬、豚、と多種多彩な動物を農園に入れています。植物もそうですが、ジョン・ネットさんは、動物でも“多種多彩”が好きです。いろいろな動物がいた方が良い。その方が、より“大自然”に近い。より多くのVIDA(ヴィーダ 生命)を農園に入れたい。農薬に代表されるMORTE(モルチ 死)よりVIDAを追求する。

土の中の微生物にも、ジョン・ネットさんは注目しています。農薬を一切使用しないことで、地中に多種多彩な微生物が生息するようになります。もちろん目には見えないのですが、ジョン・ネットさんは、それこそ文字通り這いつくばって、農園の土を、その中にいる地中微生物を感じとろうとしています。

そうやって、毎日、農園の土に触れたり、匂いを嗅いだりしていると、土の健康状態がわかるようになるんだそうです。健康な土に生えているコーヒーの木も、また、健康になるとジョン・ネットさんは言います。

現在の通常の農業が、きわめて限られた狭い視野からの、そして、きわめて短期的な評価に基づく“効率”のみの追及になってしまっている中で、ジョン・ネットさんは、森の多様性を生かし、自然とともに共生していく新しいコーヒー栽培を追及しているのです。


こーひーたよりvol.249

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーは皆、化学肥料不使用で、農薬を一切使用せずにコーヒーを作っているので、農園内の生物多様性はとても豊かです。グループの中でも、ジョン・ネットさんの「サント・アントニオ農園」の生物多様性は別格です。農園内に牛や馬、豚、ヤギなどを放し飼いにしています。

それは、2004年「サント・アントニオ農園」最大の危機があってからのことなのです。

2004年に私がサント・アントニオ農園を訪れると、農園内のいたるところにカピンと呼ばれる背の高い雑草が生い茂っていました。なにしろ熱帯のブラジルですから、カピンはものすごい勢いでコーヒー農園中に繁殖していきました。

そこで、ジョン・ネットさんが考えたのが、サント・アントニオ農園への牛の導入です。牛を農園に入れて放し飼いにすると、ものすごい勢いでカピンを食べだしました。あれほど農園中を覆っていたカピンが、牛を入れた後は、みるみるうちに減っていきました。

これは言ってみれば、ブラジル版、コーヒー農園版、「合鴨農法」だと思うのです。もちろん、ジョン・ネットさんは「合鴨農園」は見たことはありません。ただ、彼も色々な有機農法関係の本を読んで研究していますから、「合鴨農法」のことは知っていたのかもしれません。


こーひーたよりvol.248

私は、「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんの農園「サント・アントニオ農園」をコーヒー収穫の時期に訪問します。

朝、昼と農園をジョン・ネットさんと一緒に見回るのですが、「サント・アントニオ農園」は農園の大部分が自然の森のようになっています。その森の中にコーヒーの木が植わっているイメージです。

「サント・アントニオ農園」の森の中には、多種多様な木が植わっています。私も植物が好きで、日本でもよく植物園に行きます。しかし、ここ「サント・アントニオ農園」の森には、日本の植物園では絶対に見れないようなめずらしい木々を見ることができます。きっと熱帯に特有の木なんだと思います。同じ森でも、日本の森とは植生が全く違います。巨木もあって、ブラジルらしくすべてがダイナミックです。ポルトガル人が最初にブラジルに入植した時には、農園をするために、このジャングルと格闘したのだなと考えると、それは大変な苦労だったろうなと想像できます。

そんなエキゾチックな「サント・アントニオ農園」の森の木々をジョン・ネットさん、長男のジョアンジーニョと一緒に見に行くのも、本当に楽しい経験です。


こーひーたよりvol.247

私は、「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんの農園「サント・アントニオ農園」をコーヒー収穫の時期に訪問します。

朝、昼と農園をジョン・ネットさんと一緒に見回り、収穫作業を見学します。日が暮れると、ジョン・ネットさんが私を必ず連れて行く場所があります。農園の中で、ちょっと高台になっている場所があり、そこから農園全体が見渡せます。その場所に行って、日の入りを見るのが、毎年の恒例行事になっています。

日の入りは、ポルトガル語でPor do Sol(ポル・ド・ソル)といいます。サント・アントニオ農園で見るPor do Sol(ポル・ド・ソル)は、本当に美しく、長時間見ていても飽きません。

全く音のない世界で、ジョン・ネットさんとPor do Sol(ポル・ド・ソル)を見ていると、何とも言えず内省的な感覚になってきます。

日の入りの時間になると、昼暑かったことが嘘のように気温が下がってきます。肌寒く感じる時に、保温ポットに入れて持ってきた「森のコーヒー」を飲むのが楽しみです。

完全に太陽が隠れてしまうと、今度は空一面に星座が見えます。東京ではあまり星座を意識することがないのですが、ここ「サント・アントニオ農園」では、思わず星座に見入ってしまいます。


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