森のこーひーたより~生産者の顔と声~ 森のコーヒー生産者のコーヒー農園へ訪問した時の現地の様子やコーヒーへのこだわり、パートナーの皆さんの暮らしをレポートします。

こーひーたよりvol.218

「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんの農法は、農薬は一切使用しませんし、肥料もやりません。

「それで、よくコーヒーが収穫できますね。常識では考えられません。」とジョンさんに訊いたことがあります。

ジョンさんの答えは、

「森の力(ちから)を使うからさ。」

というものでした。

コーヒー発祥の地・エチオピアでは、コーヒーは、森の中に生えています。コーヒーは、日光を好む植物にもかかわらず、日当たりが強すぎると元気がなくなってしまいます。森の中で生きることによって、他の背の高い木が、コーヒーのために日陰を作ってくれるのです。

コーヒー農園の中に、いろいろな木や、動物や、昆虫、微生物が共生し、生き物の"森"を作ることにより、自然の生物ピラミッドができ、病害虫にも天敵ができることによって、特定の病害虫が、爆発的に発生することがなくなるのです。


こーひーたよりvol.217

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーは皆、化学肥料不使用で、農薬を一切使用せずにコーヒーを作っているので、農園内の生物多様性はとても豊かです。

グループの中でも、ジョン・ネットさんの「サント・アントニオ農園」の生物多様性は、別格です。

ジョンさんは、私によく言うのですが、

「うちの農園では、たくさんの社員を雇っている。そこの蟻もウチの社員だし、そこのミツバチもウチの社員だ。やぎの社員もいるし、牛、馬もいる。それから豚もいる。みんな働き者だから、私は楽でいい。」

つまり、コーヒーの栽培は、人間だけがやるのではなく、農園内の自然を総動員してやるものだと言うのです。

人間と自然を対立的にみて、どうやったら効率的に自然をコントロールして農業ができるか、と考えるのが、現代の近代農法です。

ジョン・ネットさんは、人間も自然の一部なので、どうやったら自然といっしょになって、自然と協力して農業ができるか、という風に考えています。


こーひーたよりvol.216

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーの一人、エンリケ・スローパーさんは、有機栽培の中でも、“バイオダイナミック農法”という農法でコーヒーを栽培しています。“バイオダイナミック農法”は、ドイツで神智主義のルドルフ・シュタイナーが提唱した農法で、農薬と化学肥料を使用しないのは勿論のこと、土壌と植物、動物の相互作用だけでなく、天体の動きにも着目した農業を行います。

エンリケさんが、特にこだわりをもって栽培しているコーヒーの品種が“Bourbon Amarelo”(黄色いブルボン品種)です。“ブルボン”と呼ばれるコーヒー品種は、フランスの宣教師が、1700年代の初頭にイエメンから当時のブルボン島(現在のレウニオン島)に持ち込み、そこから現在のブルボンの名が付きました。19世紀の中頃までは、ブルボン品種のコーヒーが島から持ち出されることはなかったのですが、1800年代の初頭に、宣教師達が、アフリカとアメリカ大陸に渡ったと共に、持ち出されてゆきました。

ブラジルに、ブルボンが持ち込まれたのが1860年。そこから南アメリカ、中央アメリカにも紹介されてゆきました。

ブルボン品種の特徴は、その素晴らしいカップクオリティー(コーヒーが液体になったときの美味しさ)です。ただし、生産性は低く、病中害にも弱いという弱点があります。エンリケさんが、今でもブルボン品種にこだわって栽培を続けている理由は、なんと言ってもその美味しさです。他の生産者が、より高い生産性、病中害対策品種をどんどん植えているなか、あくまでもブルボンにこだわるエンリケさんの姿勢には、本当に頭が下がります。


こーひーたよりvol.215

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーの一人、エンリケ・スローパーさんは、有機栽培の中でも、“バイオダイナミック農法”という農法でコーヒーを栽培しています。“バイオダイナミック農法”は、ドイツで神智主義のルドルフ・シュタイナーが提唱した農法で、農薬と化学肥料を使用しないのは勿論のこと、土壌と植物、動物の相互作用だけでなく、天体の動きにも着目した農業を行います。

エンリケさんの農園・カモシン農園があるのは、ブラジルのエスピリト・サント州。すぐ近くに、世界的に有名な観光地・Pedra Azul(ぺドラ・アズル「青い岩」)公園があります。農園からもぺドラ・アズルの偉容は、常に見ることができます。

ぺドラ・アズル公園は、1991年につくられました。その目的は、国の自然財産を守ることです。特にぺドラ・アズルは、花崗岩でできており、一番高い部分で1,909メートルの高さがあります。

私が毎年、宿泊するホテルの窓からも、ぺドラ・アズルが見えます。

本年度は、エンリケに車で、ぺドラ・アズルの麓まで連れて行ってもらいました。麓から見上げるぺドラ・アズルの姿は、また感動的なものがありました。


こーひーたよりvol.214

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーの一人、エンリケ・スローパーさんは、有機栽培の中でも、“バイオダイナミック農法”という農法でコーヒーを栽培しています。“バイオダイナミック農法”は、ドイツで神智主義のルドルフ・シュタイナーが提唱した農法で、農薬と化学肥料を使用しないのは勿論のこと、土壌と植物、動物の相互作用だけでなく、天体の動きにも着目した農業を行います。

エンリケさんは、“バイオダイナミック農法”で、農薬不使用・化学肥料不使用の素晴らしい品質のコーヒーを作ることに成功しています。昨年は、ついにカップ・オブ・エクセレンスという世界的なコーヒーの品質コンテストで、ブラジル1位にエンリケさんのコーヒーが輝きました。

もともとエンリケさんが、“バイオダイナミック農法”に出会ったきっかけは、フランスで初めてビオディナミをワイン作りに取り入れた「ビオディナミの伝道師」と呼ばれるNicolas Joly(二コラ ジョリー)氏との出会いでした。ジョリー氏が、ブラジルを訪問した際に、彼はポルトガル語を全く話さないので、通訳を買って出たのがエンリケでした。(ちなみにエンリケは、フランス語がペラペラです。ユーチューブにエンリケがフランス語でインタビューを受け、ペラペラ話している動画がアップされています。)

二コラ ジョリー氏の“バイオダイナミック農法”理論にいたく感銘を受けたエンリケは、コーヒーを“バイオダイナミック農法”で作ろうと決心しました。ブラジルで、“バイオダイナミック農法”で、コーヒーを作っている生産者は、エンリケの他にいません。まさにブラジルのビオディナミコーヒーのパイオニアと言って良いと思います。

エンリケと再会した本年7月16日には、記念に彼が二コラ ジョリー氏の作ったワイン・「クレ・ド・セラン」を開けて、飲ませてくれました。感動的に美味しいワインでした。


こーひーたよりvol.213

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーの一人、エンリケ・スローパーさんは、有機栽培の中でも、一風変わった“バイオダイナミック農法”という農法でコーヒーを栽培しています。

“バイオダイナミック農法”は、ドイツで神智主義のルドルフ・シュタイナーが提唱した農法で、農薬と科学肥料を使用しないのは勿論のこと、土壌と植物、動物の相互作用だけでなく、天体の動きにも着目した農業を行います。

エンリケさんは言います。
「バイオダイナミックというのは、オーガニック以上のものなんだ。まず、オーガニック農法をやっていなければ、バイオダイナミック農法はできない。オーガニック農法をやった上で、バイオダイナミック農法を実施することで、コーヒーの木の健康状態はより良くなるし、コーヒーの品質も良くなる。簡単に言うと、農業を自然のサイクルに合わせるということなんだ。バイオダイナミックの農業暦には、月、星、十二宮図の状態が記載されていて、それに合わせて農業をやるのさ。」

エンリケさんの素晴しいところは、自分さえ良い品質のコーヒーが作れて、高く売れれば良いとは考えないところです。同じ地域コミュニティーでコーヒーを作っている生産者に、常に品質上のアドバイスをしています。また、“バイオダイナミック農法”についても、興味がある人がいれば、誰にでも教えています。

こーひーたよりvol.212

「森のコーヒー生産者グループ」の一人、クラウディオ・カルネイロさんの農園「ファゼンダ パイシャウン」は、あのスペシャルティコーヒーの産地として有名なカルモ・デ・ミナスにあります。クラウディオさんは、2010年の国際コーヒー品質審査会(カップ・オブ・エクセレンス)のブラジル部門で93.91点の高得点を獲得して、第一位の栄冠に輝いた篤農家です。

クラウディオさんは、根っからのオーガニック(有機)コーヒーの生産者です。クラウディオさんのお母さんが、農薬を使用しない有機栽培の食品にこだわっていて、その強い影響で、クラウディオさんも無農薬・有機栽培コーヒーを作るようになったと語ってくれました。

「儂は根っからのオーガニック生産者じゃ。生き方からしてオーガニックじゃから、もしIBD(ブラジルのバイオダイナミック研究所)のような有機認定業者が、儂のコーヒーを有機に認定しなくなっても、儂はオーガニックコーヒーを作り続けるよ。」(IBDが有機認定しなくなる可能性があるという意味ではなく、認定業者に関係なく、誰に認められなくても有機栽培コーヒーを作り続けるという意味。解説・長谷川)

生き方からしてオーガニックだと言うクラウディオさんは、お嬢さんが2人います。長女がイングリッド、次女がバネッサです。彼女たちも、自分で事業をしています。それは有機のジャムやデザートの製造販売です。ブラジルのお菓子の中で、一番人気のゴイアバーダ(赤いグァバを砂糖と共に煮込んだお菓子)をはじめとして、色々な有機野菜、有機果物のジャムを作っています。ファミリーで、有機の邁進するクラウディオさんなのです。

こーひーたよりvol.211

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバー・イタジバさんの農園を訪問したのが土曜日。

翌日の日曜日、イタジバさんと、農協のウエリントンが、私を観光に連れていってくれるという話になりました。イタジバさんとコカリーベ農協のウエリントン、ルイス・フェルナンドと私、というなんとも色気のない男だけのグループで、イタジバさんの農園から比較的近い、GRUTA SAO THOME(グルッタ サン・トメ。グルッタというのは洞窟。サン・トメ洞窟。)に行きました。

町の中心に広場があり、広場の端に教会があります。その教会を越えて、岩山を上ってゆきます。

標高1,310mの岩山の上に、十字架がたっています。その近くには家があり、その家の屋根の上になぜかブラジル人の観光客は上って、景色を見たり、写真を撮ったりしています。

また、この岩山の岩が、日本の埼玉県秩父の長瀞と似たような感じです。岩が板状に剥がれるのですが、ブラジル人観光客は、この板状の石を重ねて塔を作っています。崩さずに高い塔をつくると、願いがかなうそうです。

コカリーベ農協のルイス・フェルナンドが真剣な表情で、この石の塔を作っていました。

こーひーたよりvol.210

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバー・アレクリン・ドウラード農園のウィルソンとルシエニ夫婦です。

カルモ・デ・ミナスに位置するアレクリン・ドウラード農園で、ウィルソンとルシエニ夫婦は、以前より野菜や青物、果物を無農薬・無化学肥料栽培で作っていました。無農薬・無化学肥料栽培でコーヒーを作り始めたのは、2013年のことです。作った無農薬・無化学肥料栽培の野菜や青物、果物、コーヒーは、フェイラと呼ばれる町のマーケットで売っていました。

しかし、彼らは小作農で、農園のオーナーは他にいました。あるときオーナーが、ウィルソン夫婦に言いました。

農園を売るから出て行ってほしいと。

夫婦は、長年彼らの作る無農薬の食品のお客さんだった、大学教授のグゥト氏に相談しました。グゥト氏は、ウィルソン夫婦の作る無農薬の野菜・果物・コーヒーが好きだったので、農園のオーナーに交渉して、彼が農園を買い取る事にしました。

このことによって、ウィルソン夫妻は、無農薬・無化学肥料栽培のコーヒー作りを継続することができるようになりました。グゥト氏は、いつか、ウィルソン夫妻がお金を貯めることができたなら、農園を彼らに売りたいと思っています。

ウィルソン夫妻のコーヒーは、フルーツを思わせる香味、素晴らしく明るく、爽やかな酸味、甘さで終わる後味をもっています。

こーひーたよりvol.209

「サンタ・テレジーニャ農園」オーナー、”パウリーニョ”こと、パウロ・セルジオ・アルメイダさんは、ブラジルでは知らぬ人はいない篤農家です。それは、「サンタ・テレジーニャ農園」の収穫の仕方にも表れています。通常ブラジルでは、「デヒサール」(ポルトガル語で、”しごき落とす”という意味)という言葉を使って、収穫の仕方を表現しています。
その言葉通り、片手で枝の先端を持ち、もう一方の手で、枝の幹側の部分からすべてのコーヒーの果実を、枝を握った手でしごき落とします。

ところが、「サンタ・テレジーニャ農園」では、まるでコロンビアや、他の中米の国のように、収穫労働者が、籠を腰にぶら下げて、一粒一粒、完熟したコーヒーチェリー(果実)のみを収穫してゆきます。このやり方をパウリーニョさんは「カタール」と呼んでいます。
「カタール」は、スペイン語では”味見(カッピング)をする”という意味になりますが、ポルトガル語では、一粒一粒、完熟チェリーのみを収穫するやり方を表す表現になるのです。

通常、ブラジル人の収穫労働者は、一粒一粒、完熟チェリーのみを収穫するようなやり方を嫌います。「なぜ嫌うのか?」と質問すると、「昔からのやり方(しごき落とすやり方)に慣れているからだ。」と答えます。そのブラジルで、一粒一粒、完熟豆のみを収穫するやり方を貫き通している「サンタ・テレジーニャ農園」のパウリーニョさんは、すごいと思います。

次の10件